ベランダは外部と接しているため、紫外線や雨風の影響を受けやすい場所です。
気づかないうちに劣化が進行し、塗装が剥がれたり、防水機能が低下したりしてしまうケースも少なくありません。
さらに、ベランダが痛んだ状態を放置すると、雨漏りや建物自体の腐食につながり、大規模な修繕が必要になることもあります。
こうしたトラブルを回避し、ベランダを美観と機能性の両面でしっかり保つために重要なのが「定期的な塗装・防水対策」です。

しかし、いざベランダの塗装を検討し始めると、「どれくらいの費用がかかるのか」「外壁塗装と併せて行うべきか」「業者ごとの見積もりの違いは何か」など、疑問や不安が次々と浮かんでくるのではないでしょうか。
そこで本記事では、ベランダ塗装の費用相場を中心に、外壁塗装や防水塗装との組み合わせ、費用を左右する要素やコストダウンのコツなどを分かりやすく解説していきます。塗装のタイミングを見誤らず、適切なメンテナンスを実施することで、建物の寿命を延ばし、快適な住環境を長く保ちましょう。

ベランダ塗装の費用相場をまずは把握しよう

ベランダ塗装の費用は、工事内容や塗装面積、塗料の種類、施工業者などによって大きく変動します。
加えて、外壁塗装や防水塗装を一緒に行うかどうかでも費用には差が出ます。
以下の表では、一般的に言われるベランダ塗装の費用相場をまとめました。自宅のベランダの状態やリフォーム範囲をイメージしながら、目安としてご覧ください。

工事内容 費用相場
外壁塗装 15万円~30万円
防水塗装 5万円~30万円
外壁塗装+防水塗装 15万円~50万円
  • 外壁塗装のみ(15万円~30万円)

    • 外壁の塗装だけを実施する場合。ベランダの床や壁部分に大きなダメージがないときは、外壁のみを塗り替えるケースもある。

  • 防水塗装のみ(5万円~30万円)

    • ベランダの防水機能を重視し、トップコートや防水塗料で塗り替える場合。劣化の度合いや面積によって金額が上下する。

  • 外壁塗装+防水塗装(15万円~50万円)

    • 外壁とベランダを同時に施工することで、足場代や諸経費を削減できる可能性がある。大規模リフォームのタイミングに合わせて行うケースが多い。

上記の相場はあくまでも目安であり、実際の費用は塗装面積がどれくらいあるか、劣化がどの程度進んでいるか、そして塗料や工法をどれにするかなどによって大きく変わります。
次のセクションでは、費用に影響を与える具体的な要素を詳しく見ていきましょう。

なぜベランダ塗装の費用に幅があるのか?

  • 工事内容の違い

    • 外壁だけを塗り替えるのか、ベランダの防水塗装も含めるのか、あるいは下地補修をどの程度行うかによって費用が変わる。

  • 塗装の面積や形状

    • 面積が広いほど材料費と作業時間が増える。また、複雑な形状だと施工の手間がかかりやすい。

  • 塗料の種類とグレード

    • 耐久性や防水性能の高い塗料ほど費用が高くなる傾向。逆に安価な塗料は塗り替えスパンが短くなる場合がある。

  • 地域・業者の違い

    • 人件費や交通費などに差があり、都市部ほど高めの価格設定となりがち。施工実績や信頼度の高い業者は、やや高めの見積もりを出すケースもある。

ベランダ塗装費用を左右する主な要素

ベランダ塗装の最終的な費用を左右する要素は、塗装面積や劣化の状態、塗料の種類、業者の選択、そして地域性など多岐にわたります。
ここからは、それぞれの要素が具体的にどのような影響を及ぼすのかを解説していきます。
事前にこれらを把握しておくと、見積もりを取る際にもスムーズに比較検討ができるでしょう。

1. 塗装面積

  • なぜそうなるのか:面積が大きいほど材料費や作業時間が増え、結果的にコストがかさむ。

  • どんな人に向いているか:大きなベランダをお持ちの方は、部分的な補修を検討することで費用を抑えられる可能性あり。

  • 具体例:一戸建てで広めのベランダを有している場合、10㎡を超えるだけで外壁と合わせての施工になることが多く、相場も高めになりやすい。

2. 劣化の状態

  • なぜそうなるのか:ひび割れや塗膜の剥がれが進行していると、下地処理や補修が必要になり費用が増える。

  • どんな人に向いているか:劣化の軽度なうちに修繕すれば、大規模工事を回避できる。

  • 具体例:築10年以内で小さなクラックや退色程度ならトップコートの再塗装だけで対応できるが、雨漏りが起きている場合は防水層ごと改修が必要。

3. 塗料の種類

  • なぜそうなるのか:シリコン系やフッ素系など、耐久年数や防汚性能によって価格が異なる。耐久性が高いほど単価も上がりやすい。

  • どんな人に向いているか:長期間メンテナンス不要の方がいいのか、初期コストを抑えたいのかによって選ぶ塗料が変わる。

  • 具体例:ウレタン系塗料はコストを抑えやすいが、フッ素系塗料や無機塗料は高額な反面、再塗装サイクルを長くできる。

4. 業者の選択

  • なぜそうなるのか:大手業者はブランド力や安心感がある分、費用はやや高め。地域密着型の中小業者は柔軟な対応が期待でき、価格もやや安い傾向がある。

  • どんな人に向いているか:コストを重視するか、実績と保証を重視するかで選択基準が異なる。

  • 具体例:一括見積サイトを活用し、複数の業者から相見積もりを取ることで、価格と提案内容を比較しやすくなる。

5. 地域

  • なぜそうなるのか:都市部は人件費や家賃など固定費が高いため、地方よりも工事費が若干高めになる傾向。

  • どんな人に向いているか:首都圏や大都市圏に住む方は、あらかじめ相場が少し高いことを認識しておく必要がある。

  • 具体例:同じ工法・塗料を使っても、東京23区内と郊外では総額に数万円の差が生じるケースがある。

ベランダ塗装と同時に考えたい外壁塗装・防水塗装の組み合わせ

ベランダ塗装は単体で行うこともできますが、外壁塗装や防水塗装と同時に施工すると、足場の設置費用や人件費を抑えられたり、作業期間を短縮できたりするメリットがあります。
特に築10年以上経過している場合は、外壁や屋根の劣化も進行していることが多いため、ベランダだけでなく建物全体を一括でチェックするのがおすすめです。

  • 外壁塗装+ベランダ塗装

    • 既に足場を組むなら、同じ足場を使ってベランダの手すりや床面を塗装できる。工期が集中するため日常生活への影響を一度で済ませられる。

  • 防水塗装+ベランダ塗装

    • ベランダは雨水や湿気にさらされやすい場所。防水対策を同時に施すことで、雨漏りやカビを未然に防ぎ、建物の寿命を大幅に延ばせる。

費用相場としては外壁塗装と防水塗装を組み合わせて15万円~50万円程度と言われていますが、これは塗料のグレードや施工範囲次第で上下します。
例えば、高品質なフッ素塗料を使うと費用はやや高めに、逆にウレタン塗料やシリコン塗料を使えば比較的安価に抑えられます。
長期的なメンテナンスコストも考慮しながら、施工内容を検討すると良いでしょう。

同時施工をおすすめする理由と具体的な事例

  • 足場代・人件費を削減できる

    • 一度設置した足場を使って外壁とベランダを一気に塗装すれば、足場を組む手間や人件費を二度払う必要がない。

  • 工期を短縮し、生活への影響を最小限に

    • 別々に施工するとその都度工事日程を取られ、騒音や塗料のにおいに悩まされる。まとめて行えば、短期集中で済ませられる。

  • 建物全体の調和と美観を保ちやすい

    • 外壁とベランダの色や質感を揃えることで、一貫性のある仕上がりを実現。

  • 事例:築15年の戸建てで外壁の汚れが目立ち始めたのを機に、ベランダの手すりや床面も一緒に再塗装し、結果的に単体でやるよりも約10万円ほど安くなったケースがある。

費用を抑えるための具体的なコツと注意点

ベランダ塗装は、決して安い投資ではありません。
しかし、工法選びやタイミング、そして業者との交渉次第で費用をある程度抑えることも可能です。
以下では、失敗や後悔を減らしながらコストを削減するために効果的なポイントをご紹介します。

  1. 部分的な補修やトップコートの塗り替え

    • まだ劣化が軽度で、防水層が機能している場合はトップコートの塗り替えだけで対応できる。

    • 注意点:ひび割れや雨漏りの兆候がある場合は、根本的な補修をしないと費用とトラブルが後で膨らむ。

  2. 早めに業者へ相談する

    • 劣化が進む前に対処すれば、大規模工事を避けられる可能性が高い。

    • 注意点:築年数やベランダの使用状況から逆算し、定期的に点検を依頼することがおすすめ。

  3. 複数の業者から相見積もりを取る

    • 同じ施工内容でも見積もり額や提案内容は業者によって異なる。

    • 注意点:安さだけでなく、保証期間や施工実績、使用塗料など総合的に比較検討する。

  4. 施工時期を選ぶ

    • 梅雨や台風シーズンは施工が遅れやすく、費用が高めになる場合がある。

    • 注意点:業者が閑散期となる時期を狙うと値引きや柔軟なスケジュール調整が望めることも。

  5. 外壁や屋根など他の部位と同時施工

    • 足場費用や人件費を一括でまとめられるため、単体施工より割安になる可能性がある。

    • 注意点:大規模工事になるため、一時的に生活動線が制限されることを考慮しスケジュール調整する必要がある。

費用を抑える際に気をつけたいこと

  • 極端に安い見積もりには要注意

    • 工程や材料が省略され、後々雨漏りや塗膜剥がれが再発するリスクが高まる。

  • 保証やアフターケアの範囲を必ず確認

    • 安価なプランは施工後のメンテナンスが含まれない場合があり、追加費用がかさむ可能性がある。

  • 塗料のグレードを理解し、コストパフォーマンスを重視

    • 高品質の塗料は初期費用が高くても長期間持つため、トータルコストが低くなるケースもある。


まとめ

ベランダ塗装の費用相場は、外壁塗装のみで15万円~30万円、防水塗装のみで5万円~30万円、外壁塗装と防水塗装のセットで15万円~50万円という大きな幅があります。
この違いは、塗装面積や劣化の程度、塗料の種類、そして施工内容(トップコートだけなのか、防水層からやり直すのか)など、数多くの要素に左右されるためです。
また、都市部と地方では人件費や交通費の関係で価格に差が出ることも珍しくありません。

ポイントの振り返り

  1. 塗装面積や劣化状態に応じた予算感を把握する

    • 軽度なうちはトップコートの塗り替えのみで済むが、ひび割れや雨漏りがある場合は防水層まで改修が必要。

  2. 外壁塗装や屋根塗装、防水工事との同時施工を検討する

    • 足場費や人件費をまとめられるので、結果的にコストが下がりやすい。生活の不便も一度きりで済む。

  3. 早めの対策が大規模工事を回避するカギ

    • 劣化が進むと補修範囲が拡大し、費用や工期が増大。気になる兆候があれば専門家に相談を。

  4. 相見積もりで業者を比較し、内容をしっかり把握する

    • 安すぎる見積もりは施工不良や補償の問題が起きやすいため、適正価格でアフターケアが充実した業者を選ぶのがベスト。

  5. 長期的なメンテナンス計画を立てる

    • 塗料の選択や再塗装の周期を見据え、トータルコストの見通しを立てておく。

ベランダは家族が洗濯物を干したり、ちょっとした休憩スペースに使ったりと、暮らしの中で欠かせない空間です。
美観を保つことはもちろん、雨漏りやカビ、建物内部の劣化を防ぐためにも、定期的なメンテナンスと塗装が重要となります。
自宅のベランダがどの程度劣化しているのかを正確に把握し、それに合わせた最適な施工方法を選ぶことが、快適かつ長持ちする住まいを実現する近道です。

「いつ塗り替えるべきか」「どの塗料が最適なのか」「外壁や屋根との同時施工はどうか」といった疑問があれば、ぜひ専門のリフォーム業者や塗装会社に相談し、実際の状況を見てもらいましょう。
早め早めのメンテナンスを心がけることで、ベランダ塗装の費用を抑えつつ、建物の健康を長く保つことができるはずです。
以上の情報を参考に、後悔のないベランダ塗装を成功させてください。