ウレタン防水は、液状のウレタン樹脂を塗布して防水層を形成する工法で、屋上やベランダ、バルコニーなど多くの建築物で採用されています。その柔軟性と施工の容易さから、複雑な形状の場所にも適用可能です。
ウレタン防水とは?
ウレタン防水は、液体状のウレタン樹脂を下地に塗布し、硬化させることで継ぎ目のない防水層を形成する工法です。
この方法は、複雑な形状や障害物が多い場所でも施工が可能で、シームレスな仕上がりが特徴です。
ウレタン防水の主な特徴
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柔軟性と弾性:ウレタン樹脂はゴムのような弾力性を持ち、建物の動きに追従しやすいため、ひび割れが生じにくいです。
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継ぎ目のない仕上がり:液状の材料を塗布するため、継ぎ目のない一体的な防水層を形成できます。
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多様な下地への適応性:コンクリート、モルタル、金属など、さまざまな下地に施工可能です。
ウレタン防水の工法とその違い
ウレタン防水には主に以下の2つの工法があります。
密着工法
下地に直接ウレタン樹脂を塗布する方法で、以下の特徴があります。
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メリット:
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コストが比較的低い:材料や工程が少なく、経済的です。
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施工が容易:シンプルな工程で、短期間での施工が可能です。
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デメリット:
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下地の影響を受けやすい:下地の状態が悪いと、防水層の膨れやひび割れの原因となります。関防協
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耐久性がやや劣る:他の工法に比べ、耐用年数が短い傾向があります。
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通気緩衝工法
下地と防水層の間に通気緩衝シートを挟み、内部の湿気を逃がす工法です。
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メリット:
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下地の湿気対策:内部の湿気を逃がすことで、防水層の膨れを防止します。
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高い耐久性:密着工法に比べ、耐用年数が長くなります。
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デメリット:
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コストが高い:追加の材料や工程が必要なため、費用が増加します。
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施工期間が長い:工程が増えるため、施工に時間がかかります。
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以下の表に、各工法の特徴をまとめます。
工法名 | メリット | デメリット | 耐用年数 | 費用相場(㎡あたり) |
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密着工法 | コストが低い、施工が容易 | 下地の影響を受けやすい、耐久性がやや劣る | 約10年 | 約3,000~5,000円 |
通気緩衝工法 | 下地の湿気対策、高い耐久性 | コストが高い、施工期間が長い | 約13~15年 | 約4,500~6,500円 |
ウレタン防水のメリットとデメリット
メリット
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施工の柔軟性:複雑な形状や障害物が多い場所でも施工が可能です。
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継ぎ目のない防水層:シームレスな仕上がりで、高い防水性を確保できます。
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比較的低コスト:他の防水工法に比べ、材料費や施工費が抑えられます。
デメリット
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施工品質のばらつき:職人の技術によって仕上がりに差が出る可能性があります。
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乾燥時間の必要性:完全に硬化するまで時間がかかり、天候の影響を受けやすいです。
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耐用年数がやや短い:他の工法に比べ、定期的なメンテナンスが必要です。
ウレタン防水の施工手順
一般的なウレタン防水の施工手順は以下の通りです。
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下地処理:高圧洗浄や補修で下地を整えます。
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プライマー塗布:下地と防水材の密着性を高めるための下塗り材を塗布します。
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ウレタン防水材塗布:ウレタン樹脂を複数回に分けて塗布し、所定の厚さの防水層を形成します。
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トップコートの塗布
ウレタン防水層を紫外線や風雨から守るために、仕上げとしてトップコートを塗布します。これにより、耐久性がさらに向上し、長期間にわたって防水性能を維持できます。トップコートには遮熱性能を持つ製品もあり、夏場の屋上温度の上昇を抑える効果も期待できます。 -
乾燥・硬化期間の確保
ウレタンは湿気硬化型の材料が多く、塗布後に空気中の湿気を取り込みながら固まっていきます。通常は中塗りと上塗りの間に4~6時間、全工程後には24時間以上の乾燥時間を設けるのが理想です。この期間に雨が降ると、硬化不良や膜の剥がれの原因になるため、天気予報を十分に確認して施工スケジュールを立てましょう。